
コケナワホールディングスならびにサイクルストックは、8月26日(火)、神奈川県と「デジタル技術を活用した食品等寄附の促進に関する連携協定」を締結した。
これまで災害時の物資支援を担ってきた「デジタル大使館」を発展的に改称し、日常において食品ロス削減と子ども支援を両立する新たなプラットフォーム「サイクルストック」として本格稼働する。
「サイクルストック」は、平常時には食品ロス削減と子ども支援を同時に実現。災害時には、被災者への物資支援基盤として継続利用される。
協定における官民の役割分担
今回の協定で神奈川県は、県内の子ども食堂や施設への導入促進や情報提供、周知を担う。一方、サイクルストックはプラットフォームを運営し、企業からの参加を促進しながら、安全で安心できる仕組みを維持する。
行政の信頼性と民間の技術・実行力が合わさることで、持続可能な循環型社会をつくる官民協働の新しいモデルが生まれた。
「サイクルストック」の仕組み

「サイクルストック」は、企業や団体が寄附した規格外品や余剰食品をオンライン上に登録し、それを子ども食堂や児童養護施設などの支援団体が選び、必要な分だけを申し込むことができる仕組み。倉庫から直接配送され、現場には本当に必要なものだけが届く。
利用方法は非常にシンプルで、WEB上からアクセス可能。受け取る側は送料の実費だけで食品を手にすることができるため、経済的にも無理のない仕組みになっている。これにより、食品ロスという社会課題を減らしながら、子どもたちや支援を必要とする家庭に確かな安心を届けることが可能に。
これまでの歩み
「サイクルストック」の源流は2022年に遡る。国内被災者支援やウクライナ避難民を背景に、在日ウクライナ大使館にも活用されたのが始まりだという。翌2023年には全国200以上の企業や団体と提携し、被災地や生活困窮家庭に寄附物資をマッチングする仕組みを構築。
2024年には能登半島地震で本格稼働し、数万人規模の緊急物資を届けた。その実績は高く評価され、グッドデザイン賞2024の受賞やForbes JAPANクロストプレナーアワードへのノミネートにつながり、NHKやテレビ東京(報道番組WBS)をはじめ、数多くのメディアでも紹介された実績をもつ。
また、2024年の夏には、廃棄予定だったアイスクリームが「サイクルストック」を通じて、3,000ヶ所の子ども食堂に届けられ、子どもたちが笑顔でそれを食べる姿が見られたそう。ただ一口のアイスクリームだが、それは「自分たちは大切にされている」という安心感を運ぶものだったという。
「サイクルストック」は、このように“もったいない”を“ありがとう”に変える瞬間を日常の中に生み出していく。
今後の展開
今後は、神奈川県内の子ども食堂や福祉団体、協力企業が順次参加し、地域全体に仕組みを広げていくという。神奈川県内での成功事例は、全国の自治体にも紹介され、同様の取り組みが各地に波及することが期待されている。
また、利用者にとってより使いやすい形に進化させるため、スマートフォンアプリの開発も進めているとのこと。日常的にアクセスしやすく、継続的に利用できるプラットフォームへと発展していく。
さらに、特許庁の推薦を受け、10月10日(金)に大阪・関西万博で公式登壇する予定。国内外に向けてこの仕組みを発信していく計画だ。
代表者のコメント

サイクルストック代表理事の水村彩音氏は、「この取り組みの最大の意義は、余剰となった食品を“廃棄物”として処理するのではなく、“社会を支える資源”へと生まれ変わらせることにあります。
その仕組みができたこと自体が、大きな社会的転換点だと感じています。神奈川県は、人口が多く企業や商業も集まる一方で、農業や漁業など地域ごとの生産も盛んです。
多様な資源が生まれるこの土地だからこそ、サイクルストックの仕組みが力を発揮し、食品を循環させるモデルケースとなれると確信しています。(一部抜粋)」とコメントを寄せている。

コケナワホールディングス代表取締役の苔縄義宗氏は、「私たちのグループが掲げる理念は、『地球をワクワクさせる』というものです。まだ食べられるのに捨てられる食品がある一方で、食事に困る子どもたちがいる。
必要なのに届かない、余っているのに活かせない。この状況を変えるために、『サイクルストック』を立ち上げました。
企業は“もったいない”を提供し、子ども食堂や施設は必要な分を選んで受け取り、そこに生まれる笑顔と『ありがとう』がまた社会に還元される。そのサイクルが広がれば、地球全体をワクワクさせる力になると確信しています。(一部抜粋)」とコメントを寄せた。
食品ロス削減と子ども支援を両立!「サイクルストック」についてチェックしてみては。
「サイクルストック」詳細:https://digitalembassy.or.jp/company
(Higuchi)